届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「アイス、冷蔵庫に入っているから。お腹こわすなよ。」

そっと耳元でつぶやいた。

驚いたのは一瞬。

ゆるんだ口元を見られたくなくて。

顔をうつむけながら。

小さくうなずいた。

霧生くんの家に行く前に、外科の冬槻先生の所へ顔を出した。

昨日の約束の件で…。

外科に顔を出したとたん、冬槻先生はニッコリ微笑んで軽くお辞儀をした。

それを周りにいた6人のナースが見て、驚いた表情を隠しきれなかった。

当然でしょ。

あたしに微笑んで挨拶するんだもん。

命知らず。

って、言葉に近いかも。

あたしは何食わぬ顔をして、冬槻先生のもとへ歩いて行った。

「どうでしたか?」

机の上をいじる振りして、ボソリとつぶやいた。

本当は霧生くんの隣で聞いて知っているくせに。

トボケて聞いたりしてる。

冬槻先生は変わらず笑顔のまま。

「来週の火曜日なら、都合いいって言っていたわ。」

小声で答えた。
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