届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
17 不思議な心
バコンッ!!
大きな音と一緒に、後頭部に激痛が走った。
「いったぁ~い!!」
ジンジンと痛む後頭部を抑えながら、クルリと後ろを振り返った。
「関係者以外は出て行く。病院には来ないって約束だろう?」
そう言いながら、霧生くんが持っていたファイルでナースステーションの出口を指差す。
「いいじゃん?誰もいないし。それに、昨日、あれからどうだったか気になったから来たんだよ?」
そんなのは口実。
本当は、寂しくてぽっかり空いた心に折り合いを付けたくて。
昨日のあの後の話を聞いて。
お別れしようと思った。
これが、霧生くんに会う最後。
卒業式のようなものだ。
きっと、今度はお兄ちゃんを探して病院に来たときに、2人のノロケ話とか聞くんだろうなって。
卒業した後、偶然、街のどこかで同級生と再会する。
そんな感覚なんだろうな。
そんな事を気づかれないように。
いつもの自分を装いながら、クルクルとイスを回転させて。
口をとがらせながら霧生くんの動きを追っている。
「誰もいないからって、ナースステーションは、関係者以外立ち入り禁止。ここに入りたかったら、看護師になるか医者になってからにしてください。」
冷たくあしらわれた。
「だって…。」
プク~っとふくれ上がる一方の口とほっぺ。