届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「ありがとな。」

ポンとなでられた頭。

そこからジンワリと切なさが広がってきて。

罪悪感が胸をしめつける。

ごめんね。

言葉にはできないのが悲しい。

ギュッと両手でなでられた頭を押さえた。

エレベーターは1階について。

そのままお兄ちゃんは出て行った。

お兄ちゃんの後姿に何回も

「ごめんね。」

って、つぶやいた。

そのまま、あたしは霧生くんの家に向かって。

大家さんの家に行くと

「お兄さんがよろしくって頼みにきていたよ。」

なんて言われて。

霧生くん、あれほどブツブツと文句を言っていたのに。

そこまでしてくれていたんだ。

…まだ、霧生くんと一緒にいてもいいってことだよね?

さっきまでの罪悪感が。

フワッと消えてなくなった。

その代り、キュンと切なさに似た痛みが胸を刺した。

大家さんに鍵を借りて開けた家。

霧生くんの家に入ると、窓辺に置かれた鉢植え。

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