届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「霧生くん!!霧生くん!!開けて!!!」
深夜の静まり返った薄暗いアパートの廊下に、大きく響き渡るドアを叩く音とあたしの霧生くんを呼ぶ声。
近所迷惑なんて考えてなんかいられない。
ただ、霧生くんの無事を確認したかった。
「霧生くん!!お願いだから…お願い…お願いだから…。」
悪い予感が頭の中を埋めつくして…。
ドアを叩きながら大粒の涙が止まらない。
何回もドアを叩き、ずっと霧生くんを呼び続けて。
段々と声なんか出なくなって。
出てくるのは涙だけ。
ドアにもたれ掛かり、泣きながら叩くドアの音。
腕に力が入らない…。
ドアを叩く音が小さくなっていく。
「…霧生……く…。」
振り絞るような声。
その時だった。
…ガチャッ。
鍵を開ける音がした。