届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「……。」
言葉なんか出なくて。
ただ、ギュッと霧生くんの背中を握りしめた。
あたしを抱きしめる霧生くんの腕。
耳元にかかる呼吸。
お兄ちゃんじゃないのに。
もっと聞きたくて。
もっとふれて欲しくて。
そんなのイケナイことなのに。
冬槻先生が亡くなったんだよ?
あたしには、お兄ちゃんがいるんだよ?
分かっているのに。
トクン
トクン
って、甘く流れる鼓動と、体を突き抜ける電流が止まらないよ。
なのに、力強い霧生くんの腕が。
あたしを解放すると、肩に置かれた手。
ゆっくりと近づく唇。
バタン…
倒れ込んだソファ。
霧生くんと視線が合って。
ギュッと抱きしめられた。
甘く高鳴っていた鼓動は、行き場を無くしたかのように体中を何十回、何百回とクルクル回っている。
良心が安心したけど。
あたしの鼓動は、ギュッと抱きしめ返した霧生くんに聞こえないか心配なくらい。
鳴り止むことを知らなかった。