届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

その日は、お兄ちゃんが病院に行ったまま帰ってこなくて。

病院だから携帯もつながらない。

夜の11時を少し回った頃。

心配になって病院に行ってみた。

病院に行くとしか聞いてなくて。

何科とか全然分らないから、一通りナースステーションと医局を回ってみた。

内科・外科・救急救命センター…。

なかなか見つからない。

通りかかった小児科の看護師達の話し声が、廊下に聞こえていた。

「そう言えば、霧生君って覚えている?」

霧生くんの話…!?

久しぶりに聞く名前。

トクンッ…

痛みにも似た小さな鼓動が、胸の中で跳ね上がった。

こっそり近くの観葉植物に隠れて耳をすました。

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