届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「ああ、イケメン君でしょ?急に辞めちゃったんだよね。」

「そうなの。目の保養だったのに…」

単なる世間話か。

歩き出そうとした時。

「霧生君、病院辞めた本当の理由知っている?」

1人の看護師の話に釘づけになり、思わず踏み出そうとした足を元に戻した。

「なに?なに?冬槻先生が、あんな事になっちゃったからじゃなくて?」

もう一人の看護師が、食い入るように聞き返した。

「違うの。これは、揉み消されているから他に漏(も)らしちゃダメよ?!」

周りをうかがいながら、コソッと耳打ちをするかのように。

隣の看護師に顔をよせた。

「うん。なんなの?」

「実は院長の娘絡みで、冬槻先生襲われて殺されちゃったのよ。」

その言葉を聞いた瞬間、全身が凍りついた。

何で??

あたしが絡んでいるの?

もしかしてお父さん?

だったら、クビになって終わるはずなのに。

どうして、あたしのせいで冬槻先生が死ぬの?

意味が理解できなかった。

冬槻先生とあたしの接点?

考えても霧生くんくらいしか思いつかない。

「院長の息子なのよ。」

その看護師の一言で全てが変わった。

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