届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「それが、どうしたの?」
「ここからが、秘密事項なんだけど…息子くんが薬品保管室から出てきた次の日、薬品がひとつ足りなかったらしいの。それと、その日運ばれた男の子。食中毒かと思って検査したら、紗羽ちゃんのあげたケーキから、無くなった薬品と同じ成分が検出されたんだって。さすがにマズイって事で、死因は心臓発作って事にしたらしいけど…」
「嘘でしょ?!」
目を丸くしながら、驚いた顔をした。
「本当よ。」
「霧生君だって、使ってない病室から紗羽ちゃんと出てくるのを院長が見ていたらしいの。」
「それって…。」
「2人で使ってない病室で何をやっていたんだか…怪しいでしょ?多分、秋洋くんの耳には入っているんじゃない?」
「ああ…あの話ね。霧生君が、まさか中学生に手を出すとは思わないけど。それからしばらくして、冬槻先生のこともあったしね。」
「霧生君と冬槻先生カップル、病院内じゃ有名だったけど。冬槻先生も、紗羽ちゃんと仲良さそうだったし。クビはいつかと思っていたんだよね。」
「それ思っていた。こっちまでとばっちり受けたくなくてさ。」
「でしょ?それで、あの事件の後すぐに霧生君は辞めちゃったから。やっぱり、あの病室で何かあったとしか思えなくて。」
「そうだよね。何もなければ、辞めることもなかったし。まあ、こっちはとばっちりこなくて良かったけど。」
ハアッと大きなため息をついた。
「目の保養がいなくなるのは寂しいけどね。」
そこから先の会話なんて聞こえなかった。
だって、信じられない話を聞いてしまったから。
あたしの作ったケーキに薬品が入っていた?
霧生くんとあたしが病室で会ったから、冬槻先生殺されたの?
全然、分んないよ!!
お兄ちゃんを探す事も忘れるくらい頭の中がグチャグチャ…
単なる噂と思いたかったのに。
無意識に足早に家に帰っていた。