届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
ホテルから一歩出ると、恐いくらい冷たい空気を感じる。
誰かに見られているとかじゃない。
街全体があたしに冷たい感じなのだ。
自分でもその原因が分からない。
知り合いがいるわけでもない。
お兄ちゃんに見つかっているなら、今頃は家に監禁状態。
それなのに…
あたしにまとわりつく、この冷たい空気は…?
不思議な感じに違和感はあったけど、いつものようにファミレスに行ってみた。
自動ドアが開いた瞬間、血相を変えた店員が駆け寄ってきた。
「すいません。入店の方をお断りさせて頂きます。」
息を切らしながら話す店員。
「なんで?」
ニラみ上げた店員の顔は引きつっている。
「警察の指導なんですよ。」
視線の焦点も定まっていない。
弱々しい口調。
店内を見ると、制服の中学生や高校生がいるのに。
明らかに嘘とわかる。
「警察の指導にしては、制服着ている子いるけど…」
「あっ…いや…取り合えず、お引取り下さい。」
そう言って無理矢理腕を引っ張ると、店の外に追い出された。
まあ、時間をつぶす場所はここだけじゃないし。
他の店に行く事にした。
だけど他の店に行っても、対応はみんな同じで。
キョドリながら追い返される。
「なんなの?」
思わず独り言をつぶやいた。
この街のあらゆる店から入店拒否されるなんて…
まさか、お兄ちゃん!?