届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

暗闇に目が慣れてきたから、誰もいないのがハッキリと分った。

次にお風呂のドアを開けたけど誰もいない。

クローゼットも確認。

誰もいない。

本当にお人好しな人だったんだ…

ホッと安心すると、ドアに鍵を閉めチェーンを付けて電気をつけた。

そして、おにぎりを片手に引っ越してきたばかりの荷物を漁ってみた。

難しそうな参考書がいっぱい入ったダンボール。

あとは服とかだけ。

「なんだ、つまんないの。」

なんて意味もなくつぶやいた。

服の入ったダンボールの中から、バスタオルを取り出すとシャワーを浴びた。

歩きすぎて疲れきった体に、染み入るような熱いシャワーが心地よかった。

服を着てお風呂から出ようとすると、ドアの前に置いてあった3段積み重なったダンボールでドアが上手く開かない。

ドアのすき間から手を伸ばしても、段ボールまで手も届かないし。

ムリヤリ開けたら、段ボールが倒れちゃう。

仕方ない。

ハアッとため息をつくと。

少し開いたドアのすき間をすり抜けるようにお風呂から脱出した。

「入るときに片付ければよかった。」

ポン!!ポン!!

ダンボールの箱を叩きながらつぶやいた。

フウッと肩の力を抜いた瞬間。

ドカドカ!!

一気にダンボールが崩れ落ちた。

「やっちゃった!!」

眉をゆがめながら、崩れ落ちて足元に散らばった中身を見つめた。

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