届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
32 甘い夢
こんなにも眠れないなんて…
体は疲れているはずなのに、目を閉じても眠れない自分にビックリ。
結局、朝まで眠れなくて。
ずっとアルバムの事を考えてしまって。
早くここの住人に聞きたい。
このアルバムを持っているのはナゼ?
頭の中を何回も同じ質問がループしている。
ギュルっと小さくお腹が鳴った。
9時まであと一時間半。
お腹も空いたし、早くアルバムの事を聞きたくて。
アルバムを片手にコンビニへと歩いて行った。
店内に入ると、やっぱり店員は奥のレジで寝ているのかな?
通勤客でにぎわいそうな時間帯なんだけど…
店内は女の人が1人と、これから仕事っぽいサラリーマンが3人いるだけ。
取りあえず、棚からサンドイッチとウーロン茶を手に取る。
「すいませ~ん!!お兄さぁ~ん!?」
レジから身を乗り出して、大きな声でレジの奥に叫んだ。
「あっ!!昨日の…。」
寝ぼけた夜のお兄さんとは違い、笑顔を浮かべながら元気良く奥から出てきた。
「あの、昨日はありがとうでした。」
ペコリと頭を下げると、お兄さんも釣られて軽く頭を下げた。
「寝られたかな?」
優しくほほ笑むお兄さんに、少しうつむきながら首を横に振った。
ドクン
ドクン
急激に高鳴る鼓動。
持ってきた卒業アルバムを持つ手が、微かに震える。
ゴクリと息を飲みこんで。
「あの…実はこれなんですけど。お風呂のドアを開けたら、ダンボールが崩れちゃって。」
持ってきた卒業アルバムを差し出した。