届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「…そんなんじゃない。その方が良かったかもな。」
悲しそうな顔をしながら、小さく口元を緩めた。
「病気?」
「…。」
お兄さんは首を横に振るだけで、言葉は出てこなかった。
「じゃあ…。」
「…ごめん。これ以上は、今は言えない。家で待っていてくれないか?」
何か覚悟を決めているような。
少し眉をゆがめながら。
口元だけが優しくほほ笑んだ。
「わかった。」
サンドイッチとウーロン茶の入った袋を手に取り、コンビニから出て行った。
もう霧生くんの手がかりが消えた。
このお兄さんは、霧生くんの高校の同級生の友達かな?
なんて…そんな偶然があるはずもなくて。
まるで、裏切られたかのような感覚が胸の中に広がる。
勝手に期待したのは、あたしなのに。
一晩だけの甘い夢だった。
現実なんて、そんなに甘いものじゃないと唇を噛みしめた。