届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「…そんなんじゃない。その方が良かったかもな。」

悲しそうな顔をしながら、小さく口元を緩めた。

「病気?」

「…。」

お兄さんは首を横に振るだけで、言葉は出てこなかった。

「じゃあ…。」

「…ごめん。これ以上は、今は言えない。家で待っていてくれないか?」

何か覚悟を決めているような。

少し眉をゆがめながら。

口元だけが優しくほほ笑んだ。

「わかった。」

サンドイッチとウーロン茶の入った袋を手に取り、コンビニから出て行った。

もう霧生くんの手がかりが消えた。

このお兄さんは、霧生くんの高校の同級生の友達かな?

なんて…そんな偶然があるはずもなくて。

まるで、裏切られたかのような感覚が胸の中に広がる。

勝手に期待したのは、あたしなのに。

一晩だけの甘い夢だった。

現実なんて、そんなに甘いものじゃないと唇を噛みしめた。


< 274 / 570 >

この作品をシェア

pagetop