届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「どうした?そんなに泣いて?」
ビックリした顔で、お兄さんが出てきた。
「…う…うう…」
ただ、今は泣く事しかできない。
涙で言葉も出てこない。
口から漏れるのは、嗚咽(おえつ)だけ。
「玄関の外で、ずっと泣き声が聞こえたから、誰かと思ったら。早く中に入って。」
そう言ってあたしの手を取ると、家の中に入れてくれた。
ダンボールが片付いた部屋は、少し広くなっていた。
窓にも、カーテンがついていて。
昼間、お兄さんが片付けたんだと思う。
部屋の真ん中には、小さなテーブルと座布団が数枚。
そのうちの一枚の座布団の上に座らせると、ゆっくりと頭をなでてくれた。
「どうした?何か怖い思いでもしたのか?」
優しく問いかけてくれる。
「…死んじゃったって。探していた人が、死んじゃったって…」
顔も上げられず、泣きながらポツリと答えた。
「そうか。キミにとって、大事な人だったんだね。オレも、同じ気持になったから良く分るよ。」
そう言いながら、お兄さんはギュッと抱きしめてくれた。
「アルバムの人?」
お兄さんの手を解くと、泣き腫らした目でお兄さんを見た。
お兄さんは、小さくうなずくとアルバムをくれた大切な人の話をし始めた。