届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
34 消せない罪
オレの地元は、田舎もいい所で。
地域みんなが家族みたいなものだった。
親戚から何を貰って。
近所のおじいさんが、畑で取れたからって。
そんな感じで、おすそわけなんて普通だったし。
小学校も中学校も、ひとつしかなかったから。
アイツが誰と付き合ったとか。
すぐに話が広まるくらい狭い町だった。
オレには、近所に憧れているお姉さんがいて。
そのお姉さんは、頭が良くて美人で誰からも好かれる人だった。
オレは、その人の妹と付き合っていたんだ。
お姉さんは憧れの人。
妹は大好きな人だった。
お姉さんには、凄くカッコイイ彼氏がいて。
いつもケンカばかりだったけど本当は仲が良くて。
「幼なじみの腐れ縁。」
ケンカするたびに、いつも笑いながらお姉さんは言っていた。
お姉さんは、大学に行くのに田舎を離れた。
その時、寂しがったオレにアルバムをくれたんだ。
「アルバムなら、持っていても妹がヤキモチ妬かないでしょ?」
って、微笑みながらこっそりくれた。
「でも、大事な卒業アルバムでしょ?」
遠慮するオレに
「大丈夫。あたしと彼氏で1冊あれば十分。アイツは、一生側にいると思うから。」
コッソリと耳打ちしながら。
この卒業アルバムをくれたんだ。
その時のお姉さんは、オレが見た中で一番綺麗な笑顔だった。