届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
痛みでゆがむ目を何とか開けると、あたしの体は玄関まで投げ飛ばされていた。
お兄さんは、ものすごい形相で駆け寄ってくると、痛みで動けないあたしの首を掴みあげた。
「いいか!!これだけは覚えておけ。楓姉ちゃんはあの日、こう言っていたんだ。『ちいさな・小さな恋の救世主に、人生イチの感謝をしているんだ。』アンタが、学さんと寄りを戻させてくれた事を。だからそれに免じて、オレは今日だけは見逃してやる。」
そう言って、玄関から靴と一緒に放り出した。
「…う…がと……ありがとう。」
痛みでうまく言葉にはならない。
このお兄さんは、どんなに辛かっただろう?
そう思うだけで、自分がこれだけの痛みで済んでいる事にお兄さんの優しさを感じた。
バタンッ!!!
勢い良く閉められたドアの向こうでは、かすかにむせび泣くお兄さんの声が聞こえた。