届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「間違ってないけど、そういう問題じゃないよ。」

「じゃあ、紗羽はどういう問題だと思うんだよ!?」

眉をゆがませながら、口をとがらせた。

「本当に好きだったら、売らないし。その程度の女とは、別れることをお勧めする。」

「まぁ、亮太の失恋は、いつもの事だしな!!」

失恋仲間の丘芹が、他人事だと思って。

満面の笑顔でポンッと亮太の肩を叩いた。

尚吾も亮太も、お互いに意味は違うけど。

納得してはいないみたい。

尚吾はイジけてスッポリと頭から毛布をかぶって、あたしの目の前のソファでタヌキ寝入り。

「そうだ、これ!!」

秀が、突然A4サイズの茶封筒を渡してきた。

「何これ?」

差し出された封筒に視線を向けると、不思議そうな顔をした。

「ちょっと、時間かかっちゃったけど…。」

「…え!?なんか頼んだ?」

「いいから。」

ニッコリ笑う秀。

恐る恐る封筒を手に取ると、中身を開けて見た。

中には白い用紙に何かが掛かれていて。

用紙を出すと、そこにはこの間の秀が捕まりそうになった時の事が書いてある。

「これって…。」

「あれからどうなったか心配でさ、イロイロ調べたら紗羽ちゃんの言ったままだった。」

「やっぱり…。」

その用紙には、被害届を出した女の子の写真から、相手の男までみっちり調べられてる。

「ありがとう。あの時、紗羽ちゃんがいなかったらマジやばかった。」

「別に…お礼言われるほどじゃないし。偶然、当たってただけから。」

「偶然でも助かったのは事実。だから何でも言ってよ。オレ達に出来ない事はないからさ。」

「う~ん。」

たしかに、興信所並みに調べられているし…。

尚吾のメールひとつで大変な事にもなったし。

お兄ちゃんに手を回されたと思って、『G』に尚吾を訪ねて行こうとした時。

いきなり襲われた時を思い出してしまった。

チラリと目の前で寝たふりをする尚吾をにらみつけた。

思い出しただけで、腹が立つ。

グッと握りしめた手で、一発殴ってやりたくなる。

「いつでもいいからさ。」

頭を軽くなでると、秀はいつものファミレスに女の子と待ち合わせと行ってしまった。

亮太も夏彌ちゃんからメール来て、頬をピンクにしながら出かけてしまって。

丘芹もハントだとか言って、ナンパに出かけた。

フウッとため息をつきながら、秀に渡された封筒を見た。

もし…調べてくれるっていうなら。

あたしは、霧生くんが本当に死んでしまったのか確かめたい。

もしも生きていたとしたら。

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