届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「ちょっ…尚吾!!!!」
ビックリした大声にゆるむこともない腕。
その腕を引きはがそうと力強く引っ張ってみても。
腕に力が入るだけで、ピクリとも動かない。
冗談とか、さっきバカにした仕返しって思いたけど。
モゾモゾと背中から、あたしの頭の所まで移動してきて。
「…帰りたい?」
耳元でポツリと囁いた。
その甘いような切ないような囁きが耳にかかった瞬間
ドクンッ!!!
痛いくらい心臓が大きく脈を打つ。
あたしの中の何かが、蘇ってくるのが分かる。
声も出ない…
体も動かない…
自分の体に、何が起こっているか分からない。
硬直して、震えそうな体を押さるように。
全身が凍りついたかのように力を入れるしかない。
「あ…当たり前でしょ?」
顔は必死に苦笑いにも似た笑みを浮かべて、微かに震える声を出すのが精一杯。
「帰したくない…1人は寂しいでしょ。」
甘えるような声で、強く腰に巻きついていた腕の力が少し抜けた。