届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
ああ…いつもの冗談ね。
ホッと肩の力が抜けた感じ。
「だったら、『G』にでも行けば?」
尚吾の腕をほどこうと腕をつかんだ。
たった一瞬の隙をつかれた。
パシッとつかみ返された腕。
驚いて開いた瞳の中は、尚吾の顔が映っていて。
心臓が止まったと思うくらい。
何も感じない。
頭の中さえ真っ白。
ただ感じるのは、唇に触れる人肌のような温かさ。
唇に感じた人肌の正体は尚吾の唇で。
ビックリして少し開いた口の中に。
ためらいとか。
戸惑いとか。
そんなんじゃない。
スルリと侵入してきたはずなのに。
熱を帯びたその舌はフワフワとした優しさで、硬直して動けないあたしの舌に寄り添うように絡み付いてくる。
体の奥から
『カチャッ。』
っという音と共に、あたしの中の何かが開いていく。
その何かなんて分かんない。
それが体中に一瞬にして広がって。
まるで、黒いような影が体中を駆け巡ったみたいで。
恐怖にも似たものとしか分からない。
それなのに、カラダの奥が熱を帯び始めている。
高温を発した尚吾の舌がカラダの奥に帯び始めた熱を膨らませるみたいに、喉の奥へと向かってくる。
その激しさが苦しいくらいで、声も出ず顔がゆがむだけ。
なのに、セーターの中に入ってくるヒンヤリとした感覚。
「…っあ。」
一瞬の冷たさに、思わずピクンとカラダが脈を打つ。