届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
胃がピリピリと痛むような緊張が、カラダの隅々まで巡回している。
会うのが怖い。
でも…会いたくて仕方ない。
待ちに待った霧生くんの住む駅に着くと、早足で改札から出た。
タクシーに乗り込んで運転手さんに秀から貰った住所を見せた。
タクシーで10分も走ると、ビルはひとつもなくなって。
公園や図書館が見える住宅街に入った。
「この近くだね。」
運転手さんがハザードを出して車を止め、指で住宅街の中を差した。
「ありがとうございました。」
お金を払うと、電柱や表札の住所を見ながら霧生くんの家を探した。
歩き始めて15分。
一戸建の住宅街を抜けると、大きなピンク色のマンションが目に飛び込んだ。
「ここだ!!」
入り口の自動ドアを入るとエントランスがあって、大きなソファとテーブルが置いてある。
オートロックで、ここから先には入れない。
ここに霧生くんがいるんだ。
キュウウっと、胃の辺りに緊張が集合した。
大きく深呼吸をして。
部屋の番号を押すと
ピンポーン…
チャイムが鳴った。
「…。」
反応がない。
ピンポ~ン…
もう一度、チャイムを鳴らしたけど反応がない。
「仕事かな?」
エントランスの中をウロウロと歩き回った。
「それにしても、あのボロイ普通のアパートから、こんないいマンションに住んでるなんて。もしかして、会社の寮とか?」
ブツブツと、独り言をつぶやきながら感心していた。
1時間ウロウロと歩き回って、1時間ソファで待っていたけど、若い女の人が2~3人出入りしただけ。