届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

広めのワンルームなのに、大きなクローゼットが2つもある。

それに、ワンルームなのにカウンターキッチン。

ソファとベッドとテレビと…。

家具は、やっぱり少なかった。

ソファに座ると、霧生くんが急いでタオルを持ってきてくれて。

雨と涙でグチャグチャな顔。

霧生くんは、何も言わずに優しく拭いてくれた。

それがまた、チクリと胸が痛んだ。

お兄さんみたいに罵倒するとか。

何で来たんだとか言われた方が楽だったかも。

だって、いざ、霧生くんを目の前にしたら。

何を話し始めたらいいのか。

頭の中もグチャグチャ。

ただ、沈黙の続く2人の空間。

「これに着替えろ。カゼ引く。」

霧生くんが、クローゼットからハーパンとTシャツを出してくれた。

「…あ…あり…がと…う。」

まだ、緊張して上手く話せない。

渡された服を持って、バスルームで着替えた。

霧生くんの服は、あたしには大きすぎて…。

ハーパンが膝下20cmくらいある。

ひょっこりと廊下のドアから顔を出すと、あったかいコーヒーがテーブルの上に2つ置かれていた。

霧生くんはあたしの顔を見ると、バスルームに入っていった。

あたしはソファに座りながら、コーヒーを飲みながらどうやって話そうか?ずっと、考えていた。

数分すると、霧生くんも着替えてバスルームから出てきた。

「服、乾燥機にかけているから。」

「…う……うん…。」

やっぱり、緊張で言葉なんか出てこない。

霧生くんはあたしの隣に座ると、大きくため息をついた。

そのため息が迷惑って言われたみたいに感じた。

よけいに、あたしからなんて話しかけられなくて。

ただ、うつむいていた。

「…学校は?」

急に霧生くんから話しかけてきて。

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