届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「あ…行って……ない。」
嬉しいはずなのに、コーヒーを持つ手が震える。
「行ってないって?」
「…あ…ああ…家出中?」
首をかしげながら、とぼけて質問するように返した。
霧生くんの眉間がピクリと動いた。
「家出だ!?中学生が、何考えてるんだ!!!」
耳を突き刺すような怒鳴り声。
「だって…あんな家に居たくなかったんだもん!!!」
勢いよくソファから立ち上がると、あたしも負けないとばかりにと大きな声で言い返した。
「あんな家でも、お前の親や兄妹だろ!?逃げたって、何にもならないんだ!!!」
「霧生くんだって…霧生くんだって逃げたじゃん!?今まで、どれだけ心配したと思っているの?急にいなくなって…あたし…あたしは…。」
大粒の涙が、言葉を止めてしまった。
理解してもらえると思っていたのに。
逆に怒られた悔しさと悲しさと。
今までの事が、全部頭の中でフラッシュ・バックして。
ギュッと手を握りしめながら、霧生くんの顔を見るしかできない。
「オレは現実を受けとめるには、酷すぎただけだ。」
急に目を逸らし、うつむいてしまった。
「…冬槻先生の事でしょ?」
自然と声が震えてしまう。
「…それもある。」
重たそうに口を開いた。
「ごめんなさい!!!!」
深々と頭を下げた。
これしかあたしには出来ないから。
「…。」
霧生くんは何も答えなかった。
当たり前だよね。
「あたしのせいで、こんな事になっちゃったわけで…あたしが全部悪…。」
言いかけた途端…