届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
そ~っと、霧生くんの隣に近づくとビールに手を伸ばした。
「はいっ!!中学生は禁止です。」
素早くビールを手に取ると、大きく手を上にあげた。
「ずるい!!!!一口ぐらいいいじゃん?」
飛び跳ねてビールを取ろうと何度もジャンプして。
まるで、子供が危険な物を母親に取り上げられた状態。
「ダメです。成人したら好きなだけ飲んで下さい。」
ニッコリと笑うと、一気でビールを飲み干して、イヤミとばかりに空き缶をあたしに手渡した。
「ぶ~っ!!!!!」
口をとがらせながら手渡された空き缶を見つめると、ベッドに入ろうとする霧生くんの後頭部めがけて投げつけてやろうと缶を振り上げた。
まるで、殺気を感じたみたいに
「ゴミはゴミ箱。カウンターの裏にあるから。」
霧生くんは振り返って言った。
投げつけられなかった悔しさを缶にぶつけるかのように、思いっきり缶をグシャリと潰して
ガコン!!!
っと、勢い良くゴミ箱に投げ入れた。
そのまま電気を消して、霧生くんのベッドに潜り込んだ。
シングルベッドだから、狭くてピタッと、霧生くんの背中にくっつく。
霧生くんは振り返ると、何も言わずに抱きしめてくれた。
優しい体温があたしを包み込むようで。
人の温もり…。
こんなに温かいんだって初めて思った。
だけどチクリと胸の奥が痛む。
だって…
「…いくら亡くなったとはいえ、なんか冬槻先生に悪い気がする。」
ポツリと口からこぼれてしまった。
その言葉に驚いた様子も、寂しさを浮かべるわけでもなくて。
何も変わらない。
むしろ、優しく甘いくらいの声で
「じゃあ、もし、オレがチワワを好きだったらどうする?」
耳元にかかる言葉。
「…えっ!?」
思ってもいない言葉に、ビックリしてして固まってしまった。