届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「…す…す……好き。」
ボソッとつぶやいた。
緊張感の張り詰めた空気に、耐えられなかった。
完全に、霧生くんに押された…。
霧生くんは無表情で目を伏せた。
そして、あたしを強く抱きしめた。
「…き……きりゅ…。」
…苦しくて声が出ない。
フッと、霧生くんの腕の力が抜ける。
霧生くんの柔かい唇が、優しくあたしの唇に触れた。
その唇から体温が伝わってくる。
緊張でカチコチに固まったあたしの体の奥を溶かすかのように。
触れた唇から温かくて優しい温もりが流れ込んでくる。
ジンワリと胸の真ん中が熱くなって。
キスって、こんなにも温かかったんだ…。
初めて感じた、包み込まれるような温かさ。
ぎゅっと、霧生くんのTシャツの襟元を掴んだ。
そっと目をつぶると、温かい雫が頬にあたり、Tシャツをつかむ手の甲に落ちた。
あたし泣いてないよね?
…霧生くん、泣いてるの?
嬉しいからなの?
涙の意味なんて分からなかった。
あたしは、緊張と恥ずかしさでいっぱいだったから。
これが好きな人とのキスなんだ…。
心の奥からそう思った。
ほんの数秒のキスだった。