届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「はぁ?お兄ちゃんて…。」
尚吾が言いかけた。
でも、その先の言葉を聞いている余裕なんかない。
だって、見間違いなんかじゃない。
まぎれもなくお兄ちゃんだもん。
「この間の話で、どんなにいい人なんだろうと思って、美緒にお願いしたんだ。」
可愛らしく智香ちゃんが笑った。
「あぁ~。」
丘芹や亮太は完全に引いている。
この2人の場合、こんなイケメンにかなうかよ!!
はあ…失恋決定って意味なんだろうけど。
あたしは…一番最悪な状況に、言葉も体も動かない。
「ごめんね。待たせて。」
爽やかな笑顔を浮かべながらイスに座ると、チラリとあたしを見た。
「大丈夫だよ。それより、忙しいのにごめんね。」
美緒ちゃんと智香ちゃんの目は、完全に王子さまを見るかのようにキラキラと輝いている。
それを見て、コツンとあたしの腕を亮太がヒジでつついた。
「マジでカッコ良すぎだろ!?」
ボソリと一言。
あたしは完全に固まって答えることもできない。
その言葉すら、耳には届いていない。
目の前に座ったお兄ちゃんから視線がそらせない。
「紗羽も彼氏が出来たのに、隠すことないだろ?」
優しく微笑んでいるけど、目は笑ってない。
みんなは気づいてないみたい。