届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「はぁ?お兄ちゃんて…。」

尚吾が言いかけた。

でも、その先の言葉を聞いている余裕なんかない。

だって、見間違いなんかじゃない。

まぎれもなくお兄ちゃんだもん。

「この間の話で、どんなにいい人なんだろうと思って、美緒にお願いしたんだ。」

可愛らしく智香ちゃんが笑った。

「あぁ~。」

丘芹や亮太は完全に引いている。

この2人の場合、こんなイケメンにかなうかよ!!

はあ…失恋決定って意味なんだろうけど。

あたしは…一番最悪な状況に、言葉も体も動かない。

「ごめんね。待たせて。」

爽やかな笑顔を浮かべながらイスに座ると、チラリとあたしを見た。

「大丈夫だよ。それより、忙しいのにごめんね。」

美緒ちゃんと智香ちゃんの目は、完全に王子さまを見るかのようにキラキラと輝いている。

それを見て、コツンとあたしの腕を亮太がヒジでつついた。

「マジでカッコ良すぎだろ!?」

ボソリと一言。

あたしは完全に固まって答えることもできない。

その言葉すら、耳には届いていない。

目の前に座ったお兄ちゃんから視線がそらせない。

「紗羽も彼氏が出来たのに、隠すことないだろ?」

優しく微笑んでいるけど、目は笑ってない。

みんなは気づいてないみたい。

< 366 / 570 >

この作品をシェア

pagetop