届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「せっかく秀に調べてもらって、プリンスが登場したのにさぁ。」
そう冗談まじりに言った尚吾の目には、ベッドの隅にうずくまるあたしの姿。
あたしの首からは長い鎖が、ベッドの足元まで延びている。
「お願い…見ないで。」
泣くだけ泣いたはずなのに、まだ涙は止まることを知らなかった。
自然とポロポロと涙が頬をつたい落ちる。
「…なんだよ…これ…。」
あまりの異常な光景に驚愕して目を丸くして。
言葉に詰まって硬直した。
当然だと思う。
こんな姿、誰だって驚くでしょ?
軽蔑するでしょ?
だから必死に隠してきたのに。
「お願いだから!!見ないでよ!!」
手元にあった枕を投げつけて。
尚吾を追い返すつもりだったのに。
グイッ!!!
泣いて抵抗するあたしを強く抱きしめた。
「なんで言わないんだよ…。」
尚吾の声が震えている。
「言えないよ。」
あたしの声も体も震えている。
「オレはこんな事くらいで、軽蔑もあきれもする男じゃねぇよ!!」
強く言い放つその言葉に、閉ざされた心にホンワカと暖かい光が射した。
強く強く尚吾に抱きついた。
涙で言葉になんかならないけど、尚吾には全てが伝わった。
「何にもいらないから、オレが全部受けとめるから…一緒に帰ろう。」
優しいささやきが耳にかかる。
その言葉に何回もうなずいた。
本当に悪に囚われた姫を助ける王子さまのよう。
ポケットからナイフを取り出すと、力いっぱい首輪を切った。