届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
やっぱり、昔から遊び人だったんだ。
チラッと尚吾の顔を見た。
「変なこと言うなよ!!」
尚吾がふてくされながら、ムッと口をとがらせた。
「フフフ…ごめんなさい。もう遅いし、今日は泊まっていくでしょ?」
笑いをこらえながら、リビングを出て行ってしまった。
あたしは、尚吾と何を話していいか分からなくて。
尚吾もなんだか様子がおかしいし。
元気がないって言うか?
沈んだ感じで。
もしかして、やっぱりあたしの事を軽蔑している?
連れ出したことを後悔している?
あたしの心の中がチクリチクリと小さな痛みを発していた。
微妙に空気が重たいような気がして。
何を話していいか分からなかった。
お互いうつむいたまま。
ただ沈黙だけがそこにあった。
数分もしない内に、お姉さんは戻ってきて。
「尚吾君は、奥の部屋ね。えっと…。」
「唯です。」
慌てて出た名前。
「唯ちゃんね。唯ちゃんは、手前の尚吾君の隣の部屋ね。」
「ありがとうございます。」
小さくお辞儀をすると、ソファから立ち上がって部屋に入った。
お姉さんが、リビング横の部屋に入ると、尚吾もさっさと部屋に入っていった。
お客さん用の部屋だったのかな?
ベッドと枕元に小さなテーブルがあって。
そこにはチューリップの形をした、可愛いスタンドライトが置いてあった。
ベッドの中で、ボーっとライトの明かりを見ていた。
疲れているはずなのに、全然寝つけなくて。
尚吾は、どれだけ軽蔑したかな?