届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「脱走なんて尚吾君がするくらいなんだから、言えないくらい辛い事があったんでしょ?まして、ここに連れてくるんだから、相当緊急なんだって分かるから。」
あたしは、なんだか嬉しくなった。
痛みを分かってくれる気がして…。
いつの間にか泣いていて、お姉さんに打ち明けていた。
お姉さんは、うなずきながら優しく抱きしめて、あたしの話を全部聞いてくれた。
「辛かったでしょ?苦しかったのに、良く頑張ったね。」
そう言って、抱きしめながら頭をなでてくれた。
「うん。うん。」
涙で言葉に出来なくて、何度もうなずいた。
「ただ、これだけは覚えておいて。尚吾君は、何があっても軽蔑なんかしないし、まっすぐに見ていてくれる。」
「…本当に?」
「ええ。あのコも、強くなったから。それに…。」
くすっと笑った。
「何ですか?それに…。」
ジッとお姉さんの顔を見上げた。
「唯ちゃんの事が、本気で好きなのね。守りたいのよ。」
「どうしてそう言えるんですか?」
「だって、女遊びしてないでしょ?だから。尚吾君が遊ぶ時は、辛さを誰かにぶつけたくて、紛らわせたいからなのよ。」
「……?」
意味が分らなくて、首をかしげた。
「信じてあげて。唯ちゃんにしか、尚吾君は扱えないと思うし。」
「あたしに…しか?」
「うん。痛みを知っているから。尚吾君も、痛みを知っているから、大事にするはずよ。」
にっこりと笑ってくれた。
お姉さんは
「この話は尚吾君達に内緒よ!!」
って、言って、部屋に帰ってしまった。
あたしも部屋に戻って寝ようとした時には、うっすらと朝日が昇り始めていた。