届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
53 ミュウ
次の日のお昼過ぎ、尚吾だけが帰った。
あたしはしばらくお姉さんの所に居ることになった。
「嬉しいわ。この部屋に独りは淋しかったから。気兼ねなく好きなだけいてね。」
お姉さんは大喜び。
「すいません。」
まだ、緊張気味のあたし。
「いいの。妹ができたみたいで嬉しいし。」
早速、買い物に出かけて、あたしに必要なものを全て用意してくれた。
気が引けるけど、ここならお兄ちゃんに見つかる心配もないかな?って、どこか安心していた。
お姉さんは、本当の妹のように大事にしてくれて。
学校に行かないなら…って、勉強を教えてくれたり、一緒に映画を見に行った。
温泉旅行まで計画していて。
いつの間にか、本当のお姉さんのようになついていた。
お姉ちゃんて、いいもんだなぁ…。
毎日が楽しくて。
こんなの産まれて初めてかも。
だから、あっという間の半年だった。
尚吾とは相変わらず。
だけど、前よりお互い心を開きあっていた。
あたしの中で、尚吾の存在が変わっていた。
…あの脱走した日。
お姉さんに聞いた尚吾の過去。
あたしに、何かを芽生えさせようとしていた。
だけど、臆病な気持ちが素直になれずにいた。
友達以上恋人未満。
その言葉が、しっくりくる。
尚吾は相変わらずだから、どう思っているのかは分からない。
「今日、秀達と『G』に行くけど、唯はどうする?」
尚吾が後ろから抱きついて聞いてくる。