届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「………どうして?」
ビックリした顔のお姉さん。
あたしは、そのまま何も言わずにリビングに行った。
ソファに座って、ティッシュで涙を拭いていた。
「ねえ、尚吾君と何があったの?」
お姉さんは心配そうな顔のまま、あたしの向かいのソファに座った。
「…あたし、どうしていいか分らないんです。あたしなんかより、もっと尚吾をちゃんと好きでいてくれる子の方がいいかなって…。」
「そんな事ないわよ。」
「いつ、お兄ちゃんに見つかるか分らないし。あたし、臆病者だから…好きになるのが怖いんです。」
「誰だって、恋愛には臆病なのよ?そんな事を気にしていたら、いつまでたっても幸せになんかなれないじゃない!?」
真剣な顔をして、ジッとあたしの顔を見ている。
「でも最近、尚吾にいいかなって思う女の子がいるから。」
「それは、唯ちゃんだけでしょ?」
「ううん。尚吾も少しはその気があるんじゃないかなって…。」
「…………。」
お姉さんはうつむいたまま、何も話さなくなった。
「ごめんなさい…お姉さん。」
深々と頭を下げた。
…お姉さんの気持が嬉しかった。
あたしの幸せをずっと考えていてくれて。
それなのに、あたしはお姉さんに答えられない。
確かに、あたしは尚吾を好きになるのに歯止めをかけているだけで。
もう、これ以上傷つきたくなくて…。
大事な人を失う悲しみを味わいたくなくて。
ガタッ!!!
勢いよくお姉さんは立ち上がると、あたしの隣に座って。
ギュッと力強く肩を掴んだ。