届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
60 誕生日
あの後、当然尚吾を殴ってやった。
だけど、嬉しそうに真っ赤になったほおを押さえていた。
結局、付き合うとかそういうのはウヤムヤニしたまま。
勢いづいて好きなんて言っちゃったけど、実際どうしていいかまだ迷っているのが実際。
そして、あたしは『G』に戻って住む事になった。
あのままお姉さん?と一緒に暮らしても、ギクシャクしちゃいそうだったから。
「唯ちゃんと一緒にいられるなんて夢見たい!!」
ミュウは、凄く喜んでいた。
いつも、1人で淋しかったみたいだから。
尚吾とミュウとあたし…。
微妙な三角関係。
その原因は、あたしにあるんだけどね。
なのに、いつもと変わりなくみんなで笑っていられた。
だけど、その日は珍しく尚吾だけは『G』に来ていない。
丘芹や亮太の恋愛バカ話には笑っていられるけど、どこかソワソワしてしまう。
♪♪~♪…
♪♪~♪…
ポケットの中の携帯に、誰かからメールが来た。
『件名 今から
本文 ----
1人でビルまで来てくれないか。』
『G』に来ないと思ったら、ビルにいたのか。
でも、あたし1人って。
何だろう?
少しの不安を抱えながら、こっそりと部屋を出てビルに向かった。
もしかして、お兄ちゃんが何かしたの?
お姉さん…じゃなくて。
秀のお兄さんと何かあったの?
頭の中を色々な不安要素が思い浮かぶ。
ビルに着くと急いで階段を駆け上った。
息を切らせフロアのドアの前で立ち止まった。
目をつぶり大きく一度深呼吸をすると、勢いよくドアを開けた。
あれ…?
真っ暗じゃん。
もしかして、お兄ちゃんが尚吾に何かしたの!?
そう思うのは当然。
慌てて部屋の中に入って、辺りを見回した。
部屋の中を荒らされている様子もないし。
急いで携帯をポケットから取り出すと、秀達の携帯に電話をしようとした。