届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「なにを?」

「器の体は誰かのモノになっても、中身の心だけは唯だけのものだって…。」

「……うん。わかった。」

小さくつぶやくと、覚悟を決めたはずなのに、寂しくて仕方なかった。

すっかり朝日が昇りきると、着替えて帰る準備をした。

尚吾は何も言わず、タバコを吸ってソファに座ってた。

「それじゃあね!!」

元気良く笑顔でドアの前に立った。

「おうっ!!」

尚吾も笑顔で答えた。

クルッとドアに向かうと、ドアノブに手を掛けた。

このドアを開けて出て行ってしまえば、もう尚吾には触れられない。

友達にならなきゃいけない。

ミュウと尚吾の寄り添う2人を見なければいけない…。

込み上げてくる思いに、どうしてもドアが開けられない。

だけど…
だけど…。

唇を噛み締め、ギュッと目をつぶって力いっぱいドアを開けた。

背筋をピンと張り、ドアから一歩を踏み出し歩き出した。

…パタン。

ゆっくりとドアが閉まった。

振り返るなんて出来ない。

ここで頑張らなかったら、泣いて尚吾の元に戻っちゃうから。

階段を下りながら、涙を流していた。

もう、追いかけてくる事はない人を心のどこかで期待してる自分がいる。

いつも、いつも、中途半端な事しか出来なくて…。

どんなに尚吾を待たせたんだろう?

あたしよりも、尚吾の方が辛いかもしれない。

何度も、追いかけて来てくれているんじゃないかって振り返りたかった。

でも、振り返るって事は、またズルズルと引きずってしまいそう。

もう、あたしは決めたんだ!!!

尚吾にも迷わせるわけにはいかない。

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