届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
Future.
62 あの日のボクら…
あれから1年が経った。
その日は、一日中雨が降っていた。
梅雨の独特としたジメジメとした雨が、もう一週間も続こうとしていた。
「おいっ!早く歩け」
「うるせぇなぁ」
そんな大声が微かに聞こえてくる。
人の出入りも多くザワメキが響いていた。
桜ノ宮警察署
1人取調室で、微かに聞こえてくる廊下の声を腕組みして聞いていた。
だいたい、なんでこんな所にいるかって…?
約1時間前。
『G』にガサ入れがあって。
運悪くあたしだけ捕まってしまったってわけ…。
それで取調室なんて人生初経験中。
ゴタついているらしく、誰も来なくて放置されている。
だから、外から微かに聞こえる話し声を聞いて暇つぶし。
「藤友何をしている!!刑事課から移動してきたばかりとはいえ、人手が足りないんだ。早くしろ!!」
「すっ…すいません!」
「藤友は、第二取り調べ室でコレを頼む」
「はい」
そう答えた声が聞こえてほんの少し。
ガチャン
取調室の重たい扉が開いた。
男の人が1人と女の人が1人入ってきた。
あたしは、ボケ~っと頬杖をつきながら座っていた。
「えっと…君の名前は…」
書類をパラパラめくりながら男は目の前のイスに腰をかける。
女の人は、入り口近くのデスクに座って、パソコンを開いた。
あたしの上の空だった大きな瞳が、男を真っ直ぐ見た。