届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「だって、刑事なのに容疑者に‘さん’付けなんて笑える。」
お腹を抱えて笑う姿に、やっと容疑者だと認識したみたいで。
「笑っている場合じゃないだろ!!」
眉をゆがめながら声を荒げる。
その声に驚いて。
「………。」
ピタリと黙った。
そしてまた、頬杖をつきながら大きな瞳で男を見た。
その大きな瞳は動じてない。
だけど、さっきまでのあたしの不思議な空気は一変して、取り調べの重たい雰囲気に変わった。
「綾瀬唯。16才。高校生か…。」
本当は蒔宮紗羽だけどね。
1人、心の中で突っ込んでいた。
「高校は行ってないし。まぁ、不登校ってヤツ!?」
いちよう、取り調べらしい会話になっている。
でも、大きな瞳は男を捕えてそらさない。
「罪状は…児童保護法違反!?」
手元の簡単な調書を見て驚いている男。
棒読み状態で裏返りながら驚く声。
あたしは突然うつ向き肩を震わせ始めた。
「…たの。」
ポツリとつぶやいた。