届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
それなのに、マジマジとあたしの顔を覗き込んでいる。
「なに人の顔をジロジロ見てんの?」
眉をゆがめながら、男の顔を冷たく見上げた。
「…送っていくから家に帰れ。」
そう言ってタメ息をついた。
「嫌だ。傘もないし、このまま帰ったら雨に濡れてカゼひくじゃん。」
スッと視線をそらした
「じゃあ、ちょっと待っていろ。」
そう言って男はコンビニの中へ入ると、傘を買い足早に目の前に戻ってきた。
「ほら、この傘あげるから。」
そう言いながら、買ったばかりの傘をあたしの目の前に差し出した。
ポカンと口をあけ、男の行動にボーゼン。
あたしの手を取り傘を渡すと
「早く帰るぞ。家はどこだ?」
クルッと後ろを向き歩き始めた。
「…。」
「綾瀬?」
「…。」
問いかけに何も答えない。
男が振り返ると、まだコンビニの駐車場から動いていない。
あたしの足は、ピタリと地面に張り付いたみたいに動かない。
「何してるんだ?送ってくから早く帰るぞ!」
少し大きな声で呼びかけても、何も返事をしない。
ハアッと大きなため息をつくと、男は足早に戻ってきた。
「ほら、傘もあるんだから早く帰らないと、親が心配しているだろ?」
顔を覗き込みながら優しく問いかけるけど、口をとがらせながらうつむいたまま。
サッと傘を男の目の前に突き出した。
「どうした?」
少し驚いたように、差し出した傘を見た。