届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「オレは、こう見えて29歳だ!!それに、お人好しなだけですから。」
眉をゆがませながら口をとがらせた。
「はぁ?29歳!?バッチリおじさんじゃん。お人好しとか自分で言っているし、単なるバカじゃん。」
そう言って鼻で笑った。
「17歳のガキに、どうこう言われたくない!!」
男はますます眉を深くゆがめた。
「どうせ、毎日始末書を書かされているんでしょ。このダメ出し満載なオジサンが!!!」
グッと顔をのぞき込みながら、口元をゆるませながらビシッと男の顔に指差した。
「なんだと!!!だいたい、オレの名前はおじさんではなく、藤友海翔(ふじともかいと)って言うんです。このチビが!!!!」
「しょうがないじゃん!オジサンがデカイだけでしょ!?」
海翔は推定182cm、あたしは162cm。
小さく感じるのは仕方ないでしょ?
「生意気な事ばっかり言うと補導するぞ!」
ビシッと指差した腕をつかむと、深く眉をゆがめた顔を近づけた。
「職権乱用ですか?だったら、あたしが名演技で”この人に、ムリヤリに家に連れ込まれました”って泣いてやる!!」
「…。」
口をパクパクさせて、言葉にならない海翔。
「フンッ!!」
勝ち誇った顔をして、鼻で笑ってやった。
「…せめて、藤友さんと呼べ。」
やっとポツリとだけ言葉になった。
「嫌だね。」
サラッと返した。
「明日、朝イチで帰れよ。」
口元をピクピクさせながら、言葉にならない怒りをグッとこらえた。
その言葉に、あたしは空気がピリッと変わった。
「あたしに家なんかないから…。」
その口調は悲しくて冷たい。
「親はどうした?」
優しい口調に、ただ黙ってうつむいているだけ。
あたしの表情は、どこか重たく冷酷でしかない。