届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
66 心に渦巻く雲
次の日。
海翔が起きる前に『G』に戻った。
部屋に入ると、大の字になって尚吾が人のベッドで寝ているし…。
ドカンッ!!!
思いっ切り足でベッドから蹴り落とした。
「いってぇ~よぉ~!!!」
ベッドから落ちてぶつけた顔を抑えながらもがいている。
「痛いじゃない!!何であたしのベッドで寝ているかな?だいたい、アンタの部屋は、斜め向かいのミュウの部屋でしょ!?」
力一杯部屋の方向を指差した。
「昨日は、晶と一緒だったみたいだから、ここに泊まったんだよ。」
「晶と一緒って…。友達と彼女がやっちゃって、何とも思わないわけ?!」
「別に。ミュウがそれでいいならいいんじゃね?オレは、ミュウが喜ぶならそれでいいし。ある意味、罪滅ぼしだよ。」
一瞬だけ、目線が下を向いた。
「……罪滅ぼし?」
「ああ。だって、オレは……。」
それ以上は言葉に詰まっていた。
言えるはずなんかない。
言ったら全てが崩れるから。
この1年間が、何もかもムダになる。
あたしの気持も…。
尚吾の気持も…。
何も言わなくても、その先の言葉は分っている。