届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「久しぶりです。」
ニッコリと笑いながら、元気良く言った。
「あれ!?尚吾くん居ないの?」
あたしなんか目もくれず。
キョロキョロと辺りを見回すと、急に口をとがらせた。
「なんか、出かけるみたいで。」
「ミュウって子?ケーキ食べながら、じっくり聞くわ。」
あたしの腕をつかんで、グイグイとリビングに連れて行った。
ソファに座らせると、冷蔵庫からホールケーキが3つも出てきた。
それに、お姉さん自慢のイギリスでしか手に入らない幻の紅茶が出てきて。
「あたし、紅茶より緑茶派なんですけど…。」
ヒザで頬杖つきながら、目でお姉さんの動きを追っている。
「あら、そうだったの?」
「紅茶だと、なんか後味甘くなっちゃって。」
「もったいない。せっかくの紅茶なのに。」
「すいません。」
「いいのよ。」
そう言いながら、お姉さん用の紅茶とあたし用の緑茶を用意してテーブルの上に置いた。
「なんか、浮かない顔しているわね…。」
「そっ…そうですか!?」
別に嫌な事があったわけでもないのに。
でも、昔からお姉さんは人の顔を見ては痛い所をズバッと言い当てる。
…尚吾の時もそうだった。
人を好きになるのが怖くて。
ずっと自分を抑えていたのに。
お姉さんにはそれが伝わっていたみたいで。
なんか、いつも励まされていた。
「なぁ~んか隠しているっていうか?迷っているでしょ?」
一口飲んだティーカップ越しに、薄っすらと笑みを浮かべる。