届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「別に…食べられるものを作ってね。」
「どこまで失礼な奴なんだよ!!」
そんな怒った声なんか聞こえなくなってきた。
ウトウトとまぶたが重たくなって。
気が付いたら朝になっていた。
パッと起き上がると、海翔はベッドで背を向けながら寝ていた。
その後ろ姿に。
なぜかホッとしている自分がいて。
霧生くんみたいに…消えちゃうんじゃないかって思った自分がいたから。
海翔が寝ていることだけで嬉しかった。
「いいかげん起きなよ。荷物取りに付き合ってよ。」
ボンッと寝ている海翔の体の上にまたがった。
「ん…は?」
驚いた顔をしながら、昨日の事を思い出しているみたい。
また朝になればいなくなるって、思っていたって顔をして。
「荷物!?なんだよソレ…。」
「早く行くよ!!」
せかすように、寝ぼけている海翔の腕を引っ張ってベッドから起き上がらせた。
海翔は、渋々起き着替えて荷物を取りに向かった。
そこは、マンションから4つ離れた駅のコインロッカー。
ドカドカっと一気に荷物を出すと、大きなバック3つを全部持たせた。
「なんでオレが、こんなに荷物を持つんだよ!」
「その為に連れてきたんだし。」
「ハァ…。」
海翔の大きなため息なんか聞こえない振りして、涼しい顔をして、スタスタと駅のホームへと歩いて行った。
家に帰るなり、荷物をほどき始めた。
この瞬間、初めてここに住むのだと実感した。
それでも、あたいはすぐにいなくなるって思っていた。
思ってもいなかった展開だし。
この先どうなるかなんて想像もつかない。
「ねぇねぇ、海翔はソファでこれから寝るんでしょ?」
素朴な疑問。
昨日は、ソファで寝ちゃったけど。
一緒に住むならどうするのかな?