届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
68 2人の距離
荷物を持ち込んで数日。
相変わらず、海翔の家に住みついている。
海翔は仕事の都合で、時間が不規則で留守がちだった。
あたしにとっては、その方が都合がいい。
色々と詮索されなくてすむから。
そんな生活にも違和感なく慣れ始めた。
あたしはいつもと変わらない。
昼間尚吾達と会っている時もあれば、騒ぎすぎて帰って来ない時もあった。
初めの数日は、海翔も家に帰ったと思ったみたいで。
あたしが家にいると少し驚いた顔をしていた。
日に日に、何か不満そうな顔はしていた。
あたしが何やっているか、気になっていたみたい。
気がつけば、梅雨も明けて夏がやって来ていた。
真っ青な空が、気温を上げているかのような午後だった。
珍しく海翔とバッティング。
「珍しいな。家にいるなんて。」
「時間が合わなかっただけじゃん?」
「たまには、買い物に付き合えよ。」
「暑いから嫌だ。」
顔からしてダルがっている。
「お駄賃で、おいしいアイスをお兄さんが買ってあげよう。」
ニッと笑いながら、ソファーの前にしゃがみ込むとあたしの頭をなでた。