届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「ごめん。悪いけどその携帯を近くのコンビニまで持ってきてくれないか?」
「あぁ…。」
完全に寝ボケている。
大丈夫か?
「じゃあ、30分後に署の近くのコンビニに持ってきてくれるか?」
「あぁ…」
この寝ボケ方。
寝ボケているってより。
寝言に近いのは気のせいか?
不安は眉をゆがませるけど。
隣には森崎がいる。
「頼んだよ?」
それだけ言うと電話を切った。
「あったのか?」
心配そうに顔をのぞき込んできた。
「友達の家に忘れていたらしい。」
とっさについた嘘。
さすがに17歳と同居とは言えない。
「そっか。それならよかった。」
「昨日、友達の所で酔いつぶれて忘れてきたらしい。」
顔は苦笑い。
これ以上突っ込まれないように、慌てて署を出て行った。
少し早く着いたはずだったのに、綾瀬唯が先にコンビニの中で何かを見ていた。
ジッと見つめる先には、花火セットが置いてある。
まだ諦めていなかったのか。
花火くらい、友達とすればいいだろう?
…そっか。
アイツ、イジメられてたって言っていたよな。
それが原因で学校を辞めたのか。
昨日、悪いことを聞いてしまったな。
ズキリと良心が痛む。
コンコンと窓ガラスを叩くと、走ってコンビニから出てきた。
「はい…。」
差し出した携帯電話。
完全な寝起き顔。