届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「だいたい、誘拐なんて嘘をついた時、その刑事は本当のことなんか知らなかったんでしょ?だったら大丈夫。上に動かされていただけなんだから。」
「そうですか?」
「そうよ。それに、年間で何百人補導や逮捕していると思っているの?常連じゃなければ、顔なんか覚えてないから。」
フッと鼻で笑った。
その自信ありそうな笑みは。
さすが!!
少し前まで、補導常連だった秀と尚吾を迎えに行っていただけはある。
だから、どこか安心感が芽生えてきた。
「ありがとう。」
そう言いながら口元をゆるめられる。
「ところで、ちょっと付き合わない?」
キラリと目を輝かせて。
ジッとあたしの顔を見るその表情は、何かたくらんでいるのが分かるくらい。
「な…なんですか?」
ちょっと怖いから。
眉をゆがめながら、困惑した表情を浮かべた。
「温泉行かない?」
「温泉!?」
「実はね、懸賞で豪華温泉旅行当たったんだけど、尚吾くんは完全拒否。1人で行くなんて淋しいじゃない?」
やっぱり、誘ったのは尚吾だけなんだ…。
「いつですか?」
「明日。」
「はい!?」
突然すぎるでしょ。
これは、期限ギリギリまで尚吾を説得していたって直感が働く。
「いいでしょ?3日くらいリフレッシュしに行っても。」
「まぁ…いいですけど。」
今は海翔の顔をまともに見られる自信はないから。
たまには温泉もいいかな?
「じゃあ、明日の新幹線は早いから。」
って、ちゃっかりお姉さんは荷造りしてあるし。