届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「ここね、秘密のお部屋なんだよ。」
「秘密の?」
「そう。特別な人しか入れないの。」
「どうして?」
ミュウは笑ったまま答えなかった。
この感じは、何かを知っているけど答えられないって所だ。
刑事のカンがピピッと脳裏を走る。
だから質問を変えて
「昨日、ここにいた子達が補導されたらしいね。」
突然、こんな質問をされて。
どんな答えが返ってくるか?
その答え方や驚き方で、このミュウって女の子はどこまで知っているかが分かる。
刑事やっていて良かった。
なんて、悲しいくらい嬉しかった。
オレの予想は、うまくごまかそうと話を変えると思ったのに。
ミュウは目を丸くしながら
「よく知っているね。なんで知っているの?」
甘ったるい声色を1オクターブ上げながら、ニッコリと笑った。
天然なのか?
それとも何も知らないのか?
次の直球の質問にかけた。
「綾瀬唯ってコに聞いたんだ。」
サラッと放った一言だった。
その言葉に、驚きながらもゆるんでいた顔を急激にこわばらせて
「も…もしかして、唯ちゃんだったの?紹介者って。」
言葉のひとつ、ひとつが。
恐る恐る確かめるように出てきている。
やっぱり、綾瀬唯はここによく出入りしていたんだ。
驚き方が少し気になるけど、この先を聞き出したくて。
「あぁ…いちよう。」
あっさりと返答すると、ミュウの目の焦点が定まらない。
「どうした?」
ポンとミュウの肩に触れた。
その振動ではないのに。
ミュウの体が、ビクッと大きく反応した。
「ごめんなさい…唯ちゃんだったんだ。」
さっきまでの甘ったるいハイトーンじゃなく、動揺を隠し切れない冷めた声色に変わった。
「そんなビックリしないでよ。別にアイツとは、何かあるって分けじゃないし。」
笑顔でミュウに言うと
「…うん。そっか…唯ちゃんが、ここを教えるなんて珍しいから。もしかして、唯ちゃんのお兄さんとか?」
「ああ。そんなところ。」
間違いではない。
ある意味兄みたいなものだ。
これで、ひとつわかった。
綾瀬唯には、兄がいるって。
「ならよかった。そうだよね、唯ちゃんがここに誰かを呼ぶなんてあり得ないし。」
ミュウの甘ったるいハイトーンと笑顔が戻った。
「ミュウちゃん…だっけ?アイツとはどういう関係?」
「う~ん…お姉ちゃんみたいなモノかな?」
「お姉ちゃんて。ミュウちゃんいくつなの?」
「13歳。」
「マジで!!」
目を大きく見開きながら、声が少し大きくなってしまう。
まさか、13歳だなんて。
この容姿といい…。
一言で言うなら、顔や格好はロリータファッションのグラビアアイドル。
今時の中学生は、なんて発育がいいんだ。
なんて、変に感心してしまったけど。
「13歳がこんな所に」
「だって、ここがミュウの家だもん。」
ニコッと笑った。