届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
一度もないかも。
尚吾がミュウを大事にしていたのは分かっている。
彼女を大事にするのは、誰よりもあたしが知っている。
どんな事があっても、絶対に守り抜いてくれる人。
「捜索願なんて、出すわけにもいかないしね…。」
「丘芹と亮太が心当たりを探している。」
「そっか。もしかしたら、あたしみたいに誰かと温泉でも行ったんじゃない?」
「…だったらいいけど。」
「もう少し様子見てみようよ。」
ポンと秀の肩を叩いた。
「そうだな。」
「それに、ミュウの変わりにあたしが捕まったって罪悪感でも感じて、顔を合わせづらいだけかもよ。」
「ミュウには、唯は大丈夫だったってメールはしたんだ。」
「あたしからもメールしてみるから。もう少し様子見てみようよ?おみやげに、ミュウの好きなシャボン玉買ってきたしさ。」
「分かった。連絡きたら、すぐに教えてくれ。」
「うん。」
そう言いながらチラッと見たのは。
珍しく一言も話さずにうつむく尚吾の顔だった。
その顔にチクンっと、心が少し痛んだけど。
ここで声をかけるなんて出来なかった。
声をかけてしまったら。
尚吾の中で何かが崩れてしまう。
それを見たあたしの心も崩れてしまうから。
だから、何も言わずに海翔のマンションに帰った。
3日ぶりに海翔のマンションに帰って来た。
仕事なのかな?
まだ帰ってきてないみたい。
ソファに座ると携帯をバックの中から取り出した。
『件名… 唯だよ
本文---
尚吾が心配してるよ。
どこに行ったの?メールちょうだいФ(^д^)
そうそう、お姉さんと温泉行ってたんだ♪
おみやげにシャボン玉買ってきたからね!!』
送信っと…。
1時間経っても連絡は来ない。
本当に、どうしちゃったんだろう?
ガタン…
廊下に目を向けると、海翔がビックリした顔して立っている。
「…。」
何を話したらいいの?
海翔も何も言わないし。
普段と変わらない海翔の態度。
急にあたしの目の前に、ドカッと携帯ショップの袋を置いた。