届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「急に泣き出して、なんでもないはずないだろ?」
ジッとあたしの顔をのぞき込んだ。
「嬉しかっただけだよ。」
口元が微妙に引きつるのは。
どうしても、海翔の顔が霧生くんに見えてしまうから。
あの日のファミレスの霧生くんの笑顔が。
どうしても目の前の海翔から離れてくれない。
海翔に引きつる口元を見せないように、スッとソファから立ち上がった。
今はこれ以上、ここにいれない。
だって、悲しくて涙が止まらないんだもん。
「どこに行くんだ?」
心配そうにあたしの顔を見上げた。
「別に…いつもの夜遊びですよ。」
得意げに笑うと、部屋を出て行った。
マンションを一歩出ると、全身から力が抜けてその場に座り込んだ。
とっくに霧生くんへの気持ちなんて、なくなっていると思っていたのに。
どうしてこんなにも、涙が出てくるんだろう?
自分でも分かんなくて。
キュウッと胸が切なくて。
押しつぶされそうなくらい、痛くて仕方なかった。