届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「言えないのに、理解しろって方がおかしいよな?」
海翔の言う通りなのは分かっている。
だけど。
言えるはずなんかないんだもん。
ギュッと唇を噛みしめると。
「だったら、理解なんかしてくれなくていい!!」
飛び出て行こうとした腕をギュッと掴まれた。
力強い腕をつかむ手に。
ドキリと鼓動が跳ねあがった。
「何するの!?」
振り返った瞬間、初めて見た。
冷たい目をした海翔。
「何も知らないと思うなよ。」
たった一言。
何気ない言葉のはずなのに。
ドキリと跳ね上がった鼓動は。
冷たく体中を駆け巡る。
それ…どういう意味?
聞きたくても凍りついて動いてくれない唇。
喉の奥でつっかえたままの言葉。
グッと飲み込むことも出来なくて。
パッと手を離された腕。
それ以上何も言わず、海翔は出かけて行った。
体中が凍りついたように動けなくて。
海翔が出て行ったドアがゆっくりと閉まるのを見ているしかできなかった。
海翔は、何を知っているの?
浮かんでくるのは昔の自分。
不安で押し潰されそう。
気付いたら、尚吾の所に来ていた。
「どうした?怖い顔して。」
「…そっ…そう?」
尚吾には言えない。
今の尚吾はミュウの事で辛いのに、これ以上負担にさせたくない。