届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「ミュウから、何か連絡あったかなって…。」

誤魔化すのがやっと。

「相変わらず。」

ため息混じりに言う。

「そっか。でも、亮太が手がかりを持ってきてくれるから。もしかしたら、ひょっこり帰ってくるかもしれないじゃん?」

「そうだよな。アイツに限って、何かあるはずないよな。」

悲しい顔をしながら笑った。

「ほら、ミュウもうすぐ誕生日でしょ?何も言ってくれないから、スネてるだけかもよ?」

「そうだ。アイツ誕生日だ。」

「やっぱり忘れていた。メールしてみれば?」

「ああ。」

すぐに携帯を手に取りメールした。

でも、返信は来ない。

切なそうな顔を浮かべている尚吾に、かける言葉が見つからない

気休めの言葉なんて、本当に落ちている時程いらないのは、自分が一番よく分かっている。

無力な自分。

ただ側に居るしかできない。

重くなりかけた沈黙が部屋中を包み込もうとしていた。

「尚吾ぉ~ん。」

丘芹の元気な声で、いつもの4人が入って来た。

尚吾の顔に、少しだけ明るさが出た。

みんなに心配させたくないって、元気を装っているのが伝わってくる。

だけど、それでも気が紛れるなら良かった。

昨日の女がよかったとか、どこ何処に激ウマな定食屋が出来たとか。

くだらない話をして、バカみたいに笑って。

それでまた1日が過ぎていく。

その帰り道だった。

目の前数メートル。

どこかで見覚えのある男が、キレイな女の人と楽しそうに歩いている。

思わずポケットから携帯を取り出した。

< 545 / 570 >

この作品をシェア

pagetop