届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「あそこのオムライス、マジでハマるぞ。」

あたしの顔を指差しながら、キッパリと言い放った。

海翔とご飯を食べに行くのも凄く久しぶり。

前に行ったのは、出会って少しした夏真っ盛りだった。

気づけば季節は、秋も終りになっていた。

ただ前と違ったのは、終始携帯を気にしていたあたし。

だって、いつミュウから連絡くるか分からないから。

一緒にご飯を食べて、相変わらず海翔とくだらない会話して。

帰りはコンビニで、ハーゲンダッツのストロベリーを買ってもらって。

まあ…いつものワガママなんだけどね。

それでも、渋々と買ってくれて。

ご機嫌で帰って来た。

その夜。

1人で眠りたくなかった。

こんな気持ちは初めてだった。

寂しいとか。

悲しいとかじゃなくて。

ただ…人の体温を感じていたくなって。

「ねぇ海翔?携帯が充電しながら寝やすいから、そっちで寝ていい?」

適当に理由を付けて、海翔のベッドに潜り込んだ。

「携帯の充電なんか、他のコンセント使えよ。」

ムッとしながら、違うコンセントを指差した。

「だって、このベッドじゃないと、枕元に携帯が届かないからムリ。」

口をとがらせながら、ムリヤリにベッドに潜り込んだ。

「寝るときくらい、携帯切っとけよ。」

慌ててベッドから飛び起きた。

「大事な連絡あるから。」

「分かったよ!オレが、綾瀬唯のベッドで寝るよ。」

ため息をつきながら、あたしのベッドに入ろうとした。

「ヤメテ!!海翔が寝ると、ベッドにオヤジ臭付くから。」

平然と言い放つ。

「綾瀬!!!フザケンなよ!!」

部屋中に、海翔の怒鳴り声が響き渡る。

「ふざけてないもん!!真面目な顔して、冗談言いません!」

キッパリと真顔で答えた。

「なんだと!?」

眉を深くゆがめながら、手にしていた布団をギュッと握りしめた。

そんな姿なんか気にしない。

クスッと笑いながら。

「30歳くらいから、加齢臭出るって知らないの?」

得意そうな顔をしながら。

チラリと海翔の顔を見た。

「何処でそんな雑学を覚えたのか…」

ブツブツと独り言を言いながら。

自分の怒りの矛先を見つけようとしている。

「ネット。」

即答で答えられたのは、独り言を聞き逃さなかったから。

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