届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
80 隠せない気持ち
ポッカリと心の中に空洞ができたみたいに、楽しかったはずの毎日が無色の世界に変わった感覚。
ミュウは、相変わらず見つからないし…。
珍しく1人で『G』のカウンターに座りながら飲んでた。
尚吾は秀とどこかに行ったみたいだし。
丘芹と亮太はいつもと変わらず、女を追いかけて行っちゃったし。
晶は裏の部屋で女といるから…。
さて、これからどうしよう?
荷物も取りに行かなきゃだ。
「おい。」
男が肩を叩きながら声をかけてきた。
さては、初めてここに来たのかな?
だって普段は尚吾達と一緒のあたしは、声なんか掛けられる事もないし。
声なんかかけたら、この辺では歩けなくなるくらい尚吾達の威力は凄いから。
あのメンバー何気に、この辺では有名だから。
知らなきゃモグリってくらい。
暴れっぷりといい、知名度といい。
万が一にも、メンバー誰かのお気に入りだったら、生きて帰れないかも?
なんて暗黙の了承らしい。
かわいそうに。
教えてあげるかな?
「あのさぁ…。」
振り向いた瞬間、凍りついた。
「なにやってんだよ?」
「海翔こそ…どうしてここに?」
「迎えに来た。帰るぞ。」
グッと腕を掴んで引っ張った。
「何言ってんの?」
力強く腕を振り払った。