新撰組のヒミツ 弐
確信した訳でもない、ただの推論だった。だがそれは高々、高校一年である光にとって、辛すぎる酷なことでもあった。


足元に合った地面が消失し、深く穿たれた穴に自由落下するように。光は現実を受け止めきれず、混乱するのみで、自分では何も出来ない赤子同然である。




それから数日、光はずっとそこにいた。




(あたし、こんなに弱かったんだ……)


最早、口にするのは水のみで、彼女の身体は随分と衰弱していたのだ。


周りには食料が無く、だからと言って洋服を着る光が街に下るのもいけない。


無論、この時代の金もない。八方塞がりだった。


意識朦朧とし、足が身体を支えきれなくなる。力無く地面に横たわると、薄目を開いて携帯電話に手を伸ばした。


(電波が無くても、繋がるかも)


そんなことは有り得ないというのに、光はただ携帯に手を伸ばす。その時、画面には“電池がありません。充電してください”という文字が表示されたのだ。


「ぁあ……っ!」


声も虚しく、画面は暗くなった。


それは、未来との唯一の繋がりが断たれたように感じさせる。ただの物質になった携帯電話は、今は何の役にも立たない。


それと同時に光の意識も遠退いていく。







「おい、てめえ。
まだ生きてるんだろう?」



そんな冷たい声が聞こえたが最後、彼女は完全に意識を失った。






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