夢の跡~はかなく消えて~
秘密に
……何日振りに、日中眠って居たのだろ…


朝の裕二のボソボソとドア越しの後に携帯を握ったままに、眠りに着いてしまった。


『お腹空いたぁ…』


裕二の出て行った後の
ヘアスプレーと消臭剤の香りが洗面所へ行くに従い充満してくる…。



『ホンット!臭い!!
大気汚染の親元みたいにスプレー使い過ぎ!!』

足元に転がる丸まった靴下をつまみ上げ洗濯機に投げ入れた……

『うげぇ~スイカの腐った臭いだぁ~』

思わず、カブトムシの幼虫のビジョンが脳裏を過り身震いする真紀。


衣類用ハイターを集中的に丸まった黒い固まりにかけた。


スーツはクリーニング行きかなぁ……

ズボンの両ポケットに手を入れてみる…。
(前に千円札が一枚出てきたっけ、今回は無しね。)
少しの期待感を感じながらお尻のポケットを確かめてみる。

何か紙が爪先と爪下皮(そうかひ)の間にあたる……


♪お札かなぁ♪


取り出し出て来たのは、 携帯の画面程の紙きれ…
何かのチケットの様でもある……。



白地のペラペラした紙に
黒のインクで
60分
90分…
120分……

90分にボールペンで○がつけられて居る。

裏には手書きの

(彩)

と書かれ○で囲み締め括られて居る。


え??

なにが?

なに??



男で無い真紀にも
その紙が意味することが 直感的に分かった。


それでも
女性は健気である。


スナックの割引きチケット……?
キャバクラのチケット……!?

あ~!カラオケ……?


そんな曖昧な解答は瞬時に掻き消されてしまうことなど分かって居ても、脳内神経は麻痺して居たいのかも知れない…。



……デリだぁ……


そんなぁ……。

真紀の頭が一瞬冷気を感じたと同時に、
胸の鼓動が大太鼓の様に響き渡る……
その振動は今までに無い程の衝撃波で
真紀の腕へと流れる。

ドンドン…波動で指先が震えて止まらない……。

思わず、深く深呼吸をし両手を握るが、
波動は
真紀の肩に送り返され
ザワザワと
血液が騒ぎ出す感覚だ。


世の中、
【素人と浮気されるより、プロがいい。
プロとは浮気にならない。】

等と、話す女性も居るが 真紀にとっては
アマだの
プロだの

知ったことではない、
デリバリーと言うことが問題なのだ…
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